岡潔(数学を志す人に)

「数学する身体」(森田真生)がとても面白かったので、また岡潔を読み直したりしてる。岡潔の世界に少しでも近づきたい一心だ。

私たちが純一無雑に努力した結果、心情によく澄んだ一瞬ができ、時を同じくしてそこに智力の光が射したのです。そしてこの智力が数学上の発見に結びつくものなのです。

「直感力を高める数学脳のつくりかた」という本では「集中モード」「拡散モード」のように表現している。卑近な例で言えば、プログラミング時どうしてもわからないバグに悩みに悩んだあげく、例えば食事中にあるいは運転中に「すべてがわかる」心がよく澄んだあの瞬間。岡潔の言う、「調和」とはもっと大きなものかも知れないが、「集中」と「拡散」の調和が大切なのだろう。

ある形式にもたれかかって初めて自分というものがあるような気がする。これを夜の闇というのだ。(中略)しかし、数学の本体は「信」というようなものである。学ぶものが「これで間違いない」と確信して得てはじめて一歩一歩進むことができるのである。

数学の属性の第一はいつの時代になっても「確かさ」なのだから、君の出した結果は確かかと聞かれた時、確かなら確か、そうでなければそうでないとはっきり答えられるようにしておいてほしいということである。でないとあとの教えようがない。この確かさに信頼して初めて前へ進めるのだから。

情緒がなっとくするまで考え抜くこと。これが大事なのだろう。